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とおせんぼ第10号「大鹿村議会、村長の無駄遣いを追認!?」

2020年6月23日 大鹿の十年先を変える会 ニュース第10号

大鹿村議会、村長の無駄遣いを追認!?

★「文化交流施設建設の反対を求める陳情」6対1で不採択

6月15日、大鹿村議会は、「文化交流施設建設の反対を求める陳情」(合計18人の提出者・賛同者)を本会議で不採択にしました。各議員の賛否は以下です(敬称略。伊東議長は投票せず)。

×不採択   秋山、伊波、熊谷、斉藤、田代、引地

△趣旨採択 河本

本会議の討論は、不採択から熊谷議員が、趣旨採択から河本議員が発言しました。

熊谷「あくまで案はたたき台。賛否は述べられない。是非も含めて文化交流事業。予算が成立してから3カ月しかたっていない。決する時期ではない。不採択」

河本「運営組織も曖昧。スケジュールも規模も現実的ではない。必要ともできるとも思わない。ただ既存施設を使っての小規模なものは否定しない。趣旨採択」

◆公平さ欠く陳情・請願の扱い/柳島村長はチラシを握りつぶす!

6月10日に陳情提出者(宗像)が希望し、委員会で趣旨説明をしました。事前調整のない役場からの通知文では、発言時間は5分。質疑や意見交換はなしとのことでした。

以前、大鹿村議会の委員会は非公開でした(地方自治法115条違反の状態が常態化していました)が、批判を受け今は公開です。一方、村議会は時々陳情提出者を呼び、話を聞くことがありました(地方自治法115条の2に公聴会等の規定がある)。2015年にリニア工事の反対陳情の際には、1時間の質疑や討論が特別委員会で行われています。

陳情者はこういった過去の事例を挙げ「陳情者から話を聞く際、基準があいまいで公平さに欠ける。よそ者だからこういう扱いを受けるのか」と冒頭疑問を提示しました。

また、柳島村長に陳情提出に関するチラシ(「とおせんぼ」8号)を手渡したとき、村長が受け取ったチラシを手でクシャクシャに握りつぶしたことについてチェック機関としての議会に注意を促しました。

憲法には請願権(16条)があり、請願法6条でも「何人も、請願をしたためにいかなる差別待遇も受けない」という規定があります。村長の態度は道徳的な問題以上に請願権の侵害です。

こういった規定は議会も尊重する義務があります。首長の人権侵害を放置したり、声の大きさで話を聞いたり聞かなかったり、不公平と言われれば議会の信頼を落とします。

◆村長の「無駄遣い」/議会は追認

陳情者は、今回の事業の本質を「監査で無駄遣いと指摘されて村長が引っ込みがつかなくなった」と委員会で指摘しました。本来なら360万円の土地の購入、利用の是非について広く住民の意見を聞くのが先です。ところが、陳情書には「村では村民においても十分に議論されたものではなく、またその内容には具体性がなく、一般的には、地方公共団体が土地を取得するための前提となる計画として完全なものではない」という監査委員の意見があるのに、議員は誰一人、監査結果を陳情者に聞きに来ませんでした。

村議会は、文化交流事業の本年度予算813万円の公費支出にGOサインを出しました。つじつまが合わず、陳情を(継続審議にできたのに)不採択にした住民軽視の姿勢は村長と同じです。この813万は村長や予算に賛成した議員たちが給与(住民の税金)から出すのが本当ではないでしょうか。

◆フットサル場って誰が使うの?

私たちの会には、以前のグラウンドで「テニスコートを作ったのに、使う人がいないからシートをかけたままだった。利用実績を示すべきだ」という意見が届いています。2憶8千万円の新グラウンドには、さらに屋根付きフットサル場ができる予定です。陳情者の故郷は大分県豊後大野市ですが、合併に伴い交付金で地元で盛んな神楽のために「神楽館」を作りました。神楽の演者が上演会の練習に追われ、「無駄な施設」との批判を避けるため行政関連の会議が毎回、遠方の神楽館で開かれるようになりました。

大鹿村は、小渋川の上流の広河原の奥に広河原小屋という無人の山小屋を持っています。管理されず、2年前に遭難した人の衣服がそのままです。南アルプス最古の山小屋を放置して山に人が行けないようにし、箱物建設のためにエコツアーを企画するなんて、世界が価値を認めた、自然と人との共存のモデル地域(ユネスコエコパーク)の恥です。

★リニアはやっぱり「夢」だった

現在、静岡県知事が大井川源流でのリニア工事に許可を出さず、2014年の着工から6年経っても目途が経ちません。2027年の開業までもう半分ほどになりますが、開業の遅れのみならず、他にも遅れが目立っています。

長野県側の南アルプストンネルでは、2016年4月の2016年4月の工事着手前の住民説明会の資料では第2四半期(2016年夏)に工事開始になっています。実際の進行状況は以下です。
●小渋川非常口=2017年7月に掘削開始(約1年遅れ)斜坑を掘削し、本線1600mのうち2割掘削の時点で蛇紋岩が出てきて工事中断。残土置き場もほぼ満タン。村外に残土置き場が確保されない限り、掘削できない。

●釜沢非常口=2020年3月に掘削開始(約4年遅れ)

●除山非常口=2017年4月に掘削開始(約1年遅れ)現在斜坑延長の6割掘削完了、釜沢の残土置き場もほぼ満タン。
また伊那山地トンネルは2017年度第1四半期(2017年春)に工事開始予定でしたが、実際にはまだ未着工です。最近のJRの配布資料では3年遅れで今年夏に掘削開始です。ちなみに昨年の説明でも「今年夏に掘削開始」と言っていました。
変電所建設については、2018年度第2四半期(夏)に工事開始ですが、現場は残土が山積みです。
残土の村外への搬出は2019年から開始の予定ですが、いまだ残土最終処分場が未定です。

静岡県側の大井川源流では、昨年の台風19号で道路や工事予定地が流出。

山梨県側では自治会が工事につながる説明会を拒否したり、沿道住民が差し止め訴訟を起こしたりしています。長野県内でも、立ち入りを拒否する地権者、長野県駅周辺で買収に応じない住人が複数います。

柳島村長は、道路改修をしてくれたJRのために、住民意見を無視して残土置き場を用意。ダンプを走らせ、その後に無駄な箱物建設を急いでいます。いつまでリニアを夢見て村壊しを続けるのでしょう。

文化交流施設って何だ!? 

2020年4月16日 大鹿の十年先を変える会  ニュース と お せ ん ぼ第9号

文化交流施設って何だ!?

大鹿村は、例年実施している住民懇談会を中止し、代わりに懇談会資料を各戸配布しています。それを見ると「文化交流施設」の概要が示されています。村は施設の運営のために「大鹿村地域づくり事業協同組合」(仮称)を設立して「文化交流事業」を行います。

★どうしていまこの計画が?

一昨年、大鹿村はろくべん館前の土地(河川改修後の遊休地6370㎡)を約360万円で国から払い下げを受け購入しました。

この土地購入の名目の「文化交流施設」の内容があいまいだったため、一昨年の上蔵の懇談会では必要性があるのかと住民から疑問が出ました。長尾副村長は、「できなければ別のものを作る」と答えています。「買ってから何に使うか考える」という公金支出のあり方としてはびっくりの答えでした。

そこで住民から住民監査請求(地方自治法242条によって監査委員に監査及び必要な措置を求める制度。大鹿村では初)がなされました。監査委員は「村では村民においても十分に議論されたものではなく、またその内容には具体性がなく、一般的には、地方公共団体が土地を取得するための前提となる計画として完全なものではない」と指摘しています。監査委員も「無駄遣い」を否定できなかったのです。

村は、鑑定評価額510万円からの減額を受けるにあたり、2年以内の施設整備を求められており、違反すれば1割の違約金が課せられることになります。実際この間、購入した土地は、リニア工事の排出残土5,000㎥にしか供されていません。道の駅の建設には5億7,000万円かかっているので、文化交流施設の建設額を仮に3億円とします。柳島村長が36万の授業料(違約金)を払うのがかっこ悪いからといって使っていい額でしょうか。

★コロコロ変わる利用目的

村によれば、文化交流施設は、歌舞伎の定期公演以外の公演の場所や道具の保管場所、切り絵等の展示のための場所として使われるそうです。また中央構造線博物館を増設して、「リニア岩石展示室」も計画されています。事業ではエコツアーなども実施されるそうです。

過去村は、「大鹿村文化施設検討委員会」を設置し、歌舞伎伝承館を作ろうとしたことがありました。2013年の検討委員会の答申では、大鹿歌舞伎等の保存伝承についてはむしろ既存施設の改修、活用によるとの内容になっています。今年地域おこし協力隊が実施したアンケートでも、これらの施設が必要だという声は少数でした。そこで総花的に村は多様な事業を実施する計画を立てました。

村が国から払い下げを受けて購入した土地

★次々登場!新規箱物 一人当たり115万円

現在村は、2億8千万をかけて新たに屋根付きフットサル場のあるグラウンド施設を整備しています。リニアの工事を続けてもらうために残土置き場として提供しましたが、結局上物をJRに作ってもらうことはできませんでした。道の駅建設には5億7千万です。

これに新たに文化交流施設が3億かかるとすると、3年ほどのうちに11億5千万円を新規箱物に使います。この額は20億の大鹿村の年間予算の58%。これを1000人の大鹿村の人口で割ると、一人頭115万円。4人家族だと460万円。土地付きの中古物件が村で買えます。コロナ対策で各自治体が緊急対策をとっているというのに今やることでしょうか。

★施設維持のために駆り出される住民

組合には事務職員1名を置くほか、4~6人の派遣職員が農林業、製造業、サービス業等の各団体から派遣されます。彼らの人件費の半分は村、残りの半分は国の負担。どっちも私たちの税金です。村は事業評価の数値目標を立てています。年間観光客数は現在の10万人から12万人へ。文化施設の利用者数は5千人から7千人へ。コロナでいまや観光の見込みは立たないのに、観光客の誘致や施設の稼働率を上げるために、定期公演以外の歌舞伎公演が求められ、村民が登録ガイドとして随時派遣されることになります。また、観光目的の施設の中で演じられることが目的化すれば、神社の舞台で住民との一体感を大切にしてきた村芝居のあり方が変質してしまいかねません。

道の駅の購買部門に村は初年度で500万円の損失補填を税金からしています。文化交流事業には今年度813万をかける予定です。一人頭13,130円(4人家族で52,520円)を村の新規事業に投じることになります。しかし村役場に自分たちが立てた文化交流事業のノウハウも意欲もありません。何しろ目的は後付けだからです。大鹿村で暮らす私たちの将来は本当に大丈夫でしょうか?

村に意見を! 署名も集めています。

今年の住民懇談会は開かれなかったので、村に「なんだかおかしいよ」「無駄遣いはもうやめて」と意見を届けましょう。

⇒ TEL 39-2001(総務課) FAX 39-2269

また、村議会に文化交流施設の反対陳情を出しています。署名を集めています(別紙)。ご協力ください。

☆委員会での意見陳述・採決 6月10日午後1時15分~、本会議採決 6月15日 *傍聴できます。

文化交流施設、とおせんぼ9

と お せ ん ぼ ニュース第8号

2020年4月16日 ニュース第8号
と お せ ん ぼ
リニア新幹線失敗の早期実現を目指して

飯田デモ、とおせんぼ8

やってる場合か! リニア新幹線

新型コロナウィルスの感染が拡大し、家にいろ、仕事ができなくて生活ができなくても仕方ない、うろうろして人に移すのはとんでもないけど、誰が感染しているのか検査はさせない。後手後手の無茶な対処なのに、協力しない人は非国民扱いです。
難工事必死の南アルプストンネル、静岡県側では認可から5年以上が経っているのに大井川の減水問題で本格工事に入れません。大鹿村では3年の遅れをJRが認め、4つの非常口のうち掘削工事に入ったのは2か所のみ。昨年10月の台風19号では道路が寸断し、今シーズンの工事は無理です。山梨県の早川町でも坑口掘削現場への橋が落ち、秋まで復旧できません。開業まであと7年。予定通り開業できるなんて信じられますか? JR東海から3兆円を回収し、医療体制を拡充し生活支援をする……不要不急の公共事業をやめるチャンスです。こんな時代にリニアなんて、夢を見すぎて悪夢です。

大鹿村が困っているから残土を引き受けるなんて大迷惑

南アルプストンネルや中央アルプストンネルの掘削残土の行方は5年経っても決まりません。大鹿村で始まった工事。ダンプが増え、納期重視の工事でトンネル外壁は崩落して松川までの生活道は寸断、村の空気は悪くなり、お客が来なくてやめた宿もあります。その上大鹿村は、残土を置くためにグラウンドを提供、用途も決まらないのに「不要不急」の土地を税金で買いました。
飯田市は、大鹿村の残土を長野県駅周辺で立ち退かせた人たちの宅地造成に使おうと言っています。しかし排出する道路は狭いので、大鹿村の人は迂回路に河川敷の通行を強いられる予定です。私たちの生活と南アルプスを壊して出した土を、よその人の暮らしを壊すために使ってほしくありません。
各地でトラスト運動や事業説明会を拒否する地区も。神奈川県では800件の地権者は交渉もこれから。大鹿村の人が困っていると考えるなら、「できるあてもない工事はもうやめよう」と言ってください。掘って出た土はJR東海に元の穴に戻させましょう。東京までは4時間かけて行けばいいのです。

不要不急のリニアを実験線から出すな!

JR工事車両、生活道314台通行説明会 その2  地権者発言/「つるし上げ」編

前島さん、写真は公害調停時の記者会見

地権者の説明/「つるし上げ」

その後JRの説明で、地権者とは引き続き協議をしているので説明は控えたい、大鹿村でなされている土曜日の運行中止については約束できないと、あまり説明になっていない説明があった。これに対し地権者の前島さんも立って発言。調停をやっているのに、住民に迷惑がかかるのは、環境低減という調停の目的と反する。迂回ルートの話し合いが終わってから既存道通行について議論しないと住民軽視になる、と説明した。その上で、JRといっしょに説明会を一方的に開くが、地権者の説明会には来ない村の姿勢に疑問を投げかけた。

これに対しJRの古谷部長は、地権者にはダンプの重量計を設置するなど譲れるところは譲る。調停内外で話し合いを継続したいと表明した。後で聞けば、重量計の設置などは、この日はじめて地権者は聞いたそうだ。

続いてフロアから別の方が発言。小さな村で地権者を連呼すればつるし上げになる。プライバシーや人権への配慮が必要。村は持ちつ持たれつ、個人の問題にするのはおかしい。村民同士で言いあう状況をJRはどう見るか、と質問。JRの太田垣の説明は、通り一遍だったが、柳島村長が「持ちつ持たれつ、私どもも地権者も」と発言者のフレーズを繰り返していたのが異様だった。日本語に翻訳すれば「だからいやなことは我慢しろ、村の言うことは聞け」になる。

発言者はさらに質問。「そもそも了解を得ないで計画を発表したのが問題。間違っていた」と村の姿勢を批判。それに対して長尾副村長が、「アンケートをして地権者にも話をした」と弁明。これに対して発言しようとした目の前に座っていた前島さんの発言を制した。ちなみに、前島さんが、地権者の意見をまとめたチラシをフロアに配ろうとすると、再び憲兵がやってきて、チラシの配布を妨害した。「弁士中止!」だ。恐ろしい。

さて、フロアからは土曜日の工事運休について要望が相次いだ。これまで何度も繰り返すが、土曜日の工事をしているのは、リニア沿線の中でも大鹿村と早川町、豊丘村だけだ。これはJRの都合以外の何ものでもないので、住民には関係ない。特に観光業にとっては死活問題で、実際に売り上げを落としている宿泊施設が増えている。

前島さんのところも宿泊施設で、迂回ルートの通行条件に土曜の運休を掲げている。JRとしては、迂回ルートで厳しい運行条件が課せられれば工事全体が滞るので、既存道の工事車両の通行を確保し、全体で帳尻を合わせたい、というのが狙いだ。したがって強硬に既存道の工事台数増と土曜の運行を譲らない、という仕組みになっている。

実際に、10万立米に対して314台という台数が適正なのか、それがいつまで続いて土曜を運行しないとスケジュールが遅れるのか、などという質問も説明もなかった。しかし、住民に具体的な被害が出るので、この点についてあいまいにしたままでもすまないだろう。

JRと一体化する大鹿村

柳島村長

筆者も手を挙げて質問。

沿道の住民から「村に騙された」という声が寄せられている。住民に対する説明を村がしたのか。自治会への説明もなされていない。大方の意見で特定の人に被害を押し付けるのが民主主義なのか、こんな決め方でいいのか、と聞いた。

村の説明は、説明会は開いたし、JRの説明を村は見守ってきた。説明会がなされていない自治会は、自治会が辞退したから手続きを怠っていない、と弁明していた。

住民に説明はしても、住民の納得を得ることは重視していない。逆に言えば、説明さえすれば何やっても許される。もし計画に自信があれば、何度でも説明をしていろんな意見を反映させ、もっといい計画にしていこうとする。自治会長がいいといっても、住民の納得を得るのが目的なら、自治会の意向にかかわらず説明を尽くさなければ手落ちになる。もちろん自治会に所属しない住民だっている。

しかし最初から説明するのが目的のなめた態度だと、問題を余計にこじらせるし、結果的に不幸な結果になることになりがちだ。終了間際に村長は「計画を容認する」、と発言して幕引きを図ろうとした。それを言いたいのなら、まず最初に自分の意向をJRとは別に住民に投げかけて了承を得るのが先だろう。何よりも、その姿勢が住民を混乱に陥れているのだから。