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越路28号発行

越路最新号、1月遅れで発刊!

ヤマトイワナは見つかっていないのです?

八木 大輔(大井川の水を守る62万人運動を推進する会

『(ヤマトイワナは)今回の調査地点においては確認されませんでした。』(中央新幹線(東京都・名古屋市間)環境影響評価準備書説明会の資料について(平成25(2013)年9月~10月))・・・

「そんな訳ないでしょ!どんな調査したんだ?!」これが、JR東海のリニア中央新幹線事業に疑問を持った最初でした。

私は、“大井川の水を守る62万人運動を推進する会”の事務局を務めます、静岡県藤枝市在住:八木大輔と申します。南アルプスをメインとする源流釣りが大好きです。大井川源流部の東俣、西俣と言えば、ヤマトイワナに興味のある源流釣り師にとっては“聖地”で、私もヤマトイワナを釣ったこともあります。“確認されませんでした”と言うJR東海の見解は、リニア工事のネガティブインパクトを少しでも減らそうというレトリックなのではないか・・・と思いました。

そんな折、2020年10月、Facebookを通じて知った“大井川の水を守る62万人運動を推進する会”が、自宅近くでその第一声をあげると知り、水を守れば、ヤマトイワナ=生態系も守れるのでは・・・と街頭署名への参加で入会。次第に、“大井川の命の水”と“南アルプスの生態系”を守ることが、リニア工事における静岡の論点だと知りました。当会の活動目的は、大井川流域住民62万人の“命の水”と“南アルプスの生態系”を守って後世に伝えることです。これは主義主張を超えた目的だと思います。

並行して、水枯れ、立ち退き、住民の分裂等、リニア沿線で起きている問題に対する、JR東海の不遜な説明の実態を知りました。また、沿線各地で工事遅れが多発しているにもかかわらず、「2027年の開業が困難なのは、静岡県がゴネているせいだ」という静岡悪者論が吹聴される中、リニア工事認可機関である国土交通省が“行司役”の有識者会議が、全面公開等、静岡県からの開催条件を反故にしたまま開催され続け、高度成長期の発想で計画されたリニアが、コロナ禍で何の再検証もなく進められることの異常さがハッキリしてきました。

リニア工事への疑問を契機に、宗像さん、大鹿村リニア㊙大作戦の皆さん、樫田さん、金丸さんはじめ、リニアを問題と感じている方々と繋がることが出来ました。皆さんから共有頂いた情報や、書籍からの情報を知れば知るほど、「大丈夫なのか、リニアは?」と言う思いが強くなりました。

自分に何ができるか・・・「源流釣り師は、時に、手に持つ竿をアンテナに変えて、源流部の異変を街に伝えることができる」。これは私の師匠の教えです。もちろん個人で出来ることはやります。加えて、仲間がいれば、いろいろな事ができるのではないか、とも考えました。その結果、初めてとなる“市民運動”として当会に加わりました。活動は多岐にわたります。コロナ禍の制約でwebミーティングを中心に、複数の仲間とコミュニケーションを続け、活動の5W1Hを相談しながら、具体的なアクションを起こしていきます。最初は仲間に付いていくだけでした。街頭署名の際、署名者から励ましの言葉を頂いたり、仲間の考え方を聞いたり、人前で自分の考えを話したり・・・初めてながら、楽しんでいる自分がいました。元来、政治に首を突っ込むタイプではないので、市民運動が政治に絡むシーンには及び腰なままですが、市民運動グループの仲間も増え、それなりの責任が生じてくる中で、自分の役割を見出す必要がありました。そこで、広報と活動資金集め、裏方の仕事をしようと決めました。

広報は、地元静岡新聞社が掲載するリニア関連記事等をSNSでシェアすることとしました。目的は情報共有と静岡悪者論払拭。最初は軽い気持ちでしたが、やっていると責任感が出てくるので不思議です(笑)

活動資金集めは、クラウドファンディングを活用しました。初めての経験でしたが、企画・編集・告知・依頼・お礼と全プロセスを経験でき、おかげさまで、目標金額70万円を達成できました(引き続きご支援は受け付けております)。

裏方の仕事は、活動全般のサポートと、リニア工事が大井川流域住民の生活に及ぼす影響について、市議会での一般質問の準備でした。市議会傍聴と合わせ、初めての経験でしたが、藤枝市議会と市議との素晴らしい信頼関係を知ることができました。

こうした活動を通じ、約半年間で集まった19,263筆の署名を、5月13日に川勝静岡県知事に一次提出して来ました。知事からは、以下の主旨のコメントを頂きました。

  • こうした一連の活動は大変力になる
  • 国交省とJR東海の強引なやり方では水は守れない
  • ここが頑張りどころ
  • 「流域住民の思いはここにある」と、この署名を国交省に提出したい
  • これで命を失っても本望だ
  • 一丸とならなければ水は守れない

そして県はその署名を受け取ったことを、翌日直ぐに国交省と環境省、JR東海に報告しました。

全国から注目された、6月20日投開票の静岡県知事選、リニア工事から県民の暮らしを守るためにJR東海・国土交通省と対峙し続けてきてくれた川勝知事が再選しました。正直、ホッとしています。私も将来「南アルプスに遊びに連れて行ってよ!」と子どもや孫に言ってもらえるように、出来ることを続けていこうと改めて思いました。

大鹿村の皆さんの暮らしを脅かすリニアの実情が、対岸の火事でなく、明日は我が身との思いが強くなります。自分たちの暮らしを守るのは、他の誰でもない自分自身です。行動を起こし、政治をイイ意味で利用し、自分の想いを届け、形にする。これを仲間と楽しみながら続けることが大切です。

新技術導入に際し、何かが犠牲になることは理解できます。しかし、その新技術は本当に必要なのか?新技術導入が目的でなく、手段になっていないか?リニアと我々の暮らし、南アルプストンネルと大井川の命の水・南アルプスの生態系は、トレードオフでイイのか?私の答えはNoです。大鹿村と大井川流域と連帯して、麗しきふるさとを守りましょう。

◇遠のくリニア開業の行く末『水問題で一歩も引かない静岡県』

6/25JR東海の金子慎社長と川勝平太静岡県知事のトップ会談がなされた。「リニアの2027年開業のため今直ぐにでも工事着工を認めてもらいたい」と、高飛車な強硬姿勢に出たが、静岡県知事は、「準備工等は本体工事と一体で到底認められない」との見解で、結果平行線となりJR東海の要請には応じなかった。その前段階、中間発表でも、大井川の沿線首長は、「大井川の全量戻しは譲れない」との意見に対し、JR東海は、全量戻しは無理だとか、静岡県の言い分はハードルが高いとかの見解を示していた。

そこに国交省の事務次官も上からの指示で静岡県にやってきたが、県知事から「工事現場となる大井川上流部の状況がどの様になっているかご存じか!工事どころではないと一蹴した。」(昨年の台風19号で東俣林道は7個所ズタズタに崩れ落ち河川敷への仮設道路も整備したが、この7月豪雨で仮設道路も流され椹島・二軒小屋の作業員は一時孤立しヘリコプターで救出される始末となった)

本来国交省は中立の立場であるはずが、99%JR東海側の立場で計画遂行を押し付ける物言いに至っては、静岡県の怒りを買った。いわんや世界を席巻しているコロナ禍。感染拡大を受け遠距離移動は減り、リモートに変わりつつある。JR東海の収益も潤沢な黒字から赤字に転落した。今後よほどの乗客の回復が見られない限りJR東海の財務は厳しく既に3兆円の財投も嵩上げが必要になってくるだろう。人口減少と併せコロナ感染症は、東京-名古屋-大阪の大都市を高速でつなぐという『夢の超特急リニア新幹線』という謳い文句だが、人口が密集・密接する大都市の弱点を図らずもさらけ出したといえる。

京都大学総長の山際寿一さんは、「新型コロナ危機のもとで、リニア事業のような自然の無秩序な乱活溌が鋭く問われている」と語った。また、環境大臣もリニア事業は「生態系に不可逆的な影響を与える」と言わざるを得ないと指摘した。

おりしもリニア計画を経済政策の一つとして推進する安倍晋三首相が、内臓疾患から来る体調不良とのことで辞意を表明した。旗振り役が舞台から降りた今、このリニア新幹線計画の問題点を大いに広め、国民的見地から「孫子のために自然や環境を守り、無駄な税金投入を止めさせ、安心安全な公共機関としてのJR東海」を取り戻すため、百害あって一利もないリニア計画を破綻に追い込みたい。

(越路18号、静岡県勤労者山岳連盟会長 竹本幸造)

飯田のデモで楽しんだ(越路16号)

4月19日に、長野県飯田市で行われた「リニア新幹線反対デモ」に東京から参加しました。誘ってくれた「大鹿の十年先を変える会」の、前島さんと宗像くん。どうもありがとう!!

4月7日には「緊急事態宣言」が出され、「行けるか?やめた方が良いか?」と、出発直前まで悩みましたが、こういう事態のときだからこそ参加するのに意義がある!という結論に達し、パートナーのMくんと参加した次第です。

当日は晴天。マスクをしていると暑い。ウィルス感染の予防をしても、例えウィルスが蔓延していなくても、こんなふうにデモ(或いは集会)をする私たちを「批判」するような輩はいる。ようするにそれは、「権力にたてつく」ということを、自分の中で理解(想像)出来ないので「批判」するのでしょう。とはいえ、そういう輩と揉めるのが目的では無いので、暑くて酸欠になってもしっかりマスクはしていました。

いわゆる「地方でのデモ」に参加する機会はなかなか無いので個人的には、沿道にいた人たちのデモ隊への戸惑い、あからさまな敵視、そして共感と応援……といった様々な反応を、丸ごと楽しむことが出来ました。

県内や我々東京組以外に関西方面からも何人か来ていて、その中の一人に偶然に話しかけたところ、Mくんとツイッターで相互フォローになっていて、「リニアは絶対反対だし、『天皇制はいらないよ』という曲のリンクを貼っているMさんが呼び掛けをしているデモは、絶対『ガッツリ』してると思ったから参加しに来ました」という答えが返ってきて、「ってことは『天皇制反対』ですか?」と聞いたところ「モチロン!」と言われ、思わぬ出会いに感動する一幕もありました。

とても良いデモでした。歌声サークルの方たちのリニアを批判した替え歌も胸にグッと来たし、次もあったら行きたいなぁ~。期待しています。(大橋奈穂子)