遠山谷のジオツアーの方がリニア現地を見せてほしいとのことでしたので、村内を案内しました。
久しぶりに来た釜沢三正坊。ここは農地を転用してリニアの残土の仮置き場になっていましたが、転用期限が来て、残土は撤去され、田んぼの枠が切られていました。とはいっても、重金属の出たトンネルでの残土は環境基準値以下とはいえ、何の重金属も含まれていないとは限りません。田んぼに戻るかどうか見守っていく必要があります。
赤石岳がよく見えましたが、小渋川にかかる一番奥の三番目の橋は、残土運搬用の工事車両専用の橋です。
トビガス沢は残土工場に変わっていました。
一番驚いたのは有害残土の実証実験場です。これで安全だと思えますか?
ヤードの中。手前の緑は有害残土。どんどん出て行き場所はありませんよ。
大鹿村の交流センターでリニア連絡協議会がありました。マイクを握っているのは杉浦長野県担当部長。
昨年から自治会長の役が回ってきたため、この3月まで委員として出席してきました。
毎回、発言があれこれ出るのですが、昨年、JR東海が2027年開業を断念して、事実上当初計画の失敗を表明したため、ダンプの往来がマックスな現状、生活に支障が出ており、いつできるのか、と質問が出るようになって活発化しています。
この状況で、いくら予定通りの工事遂行をJRに求めたところで、「やってみなければわからない」とJRは繰り返しているわけですから、無理に決まっています。他の地域の様子を見て、工事を休ませるなり、ダンプ台数を減らすように、誘致を進めてきた県や村が住民生活への影響が予想以上に高く、JRに工事施工能力がないことが明らかになったため、是正を求めるのが筋だと思いますが、長野県の下平さんは、「道路管理者だから」と子どもダマシの説明を繰り返しています。この方はぼくが残土置き場を河川の上流に置かないように要望すると「反対が多ければ考慮する」と隙だらけの発言をする方のようです。
ところで、昨日は、南アルプストンネル、伊那山地トンネルについての進捗状況も示されたので、それをJRの資料から抜粋しておきます。
南アルプストンネルの進捗状況です。先進坑が静岡県境まで2.4kmのところまで達して、小日影銅山の跡地付近まで掘り進んだようです。これから土被りは1400mとなっていきます。
青木川工区は3割。青田山方向に土被り(トンネルから地上の距離)が高くなりますが、トンネル工事の天敵、蛇紋岩では未経験の土被りと聞いています。
小渋川橋梁については、夏に工事説明会、秋に着工をJRは口にしてきました。地元当該自治会に事前に説明しないというのを4回の協議会でしつこく言ったため、やり方も含めて説明すると言ってました。業者は決まっていないとのことです。
ところで、昨日の連絡協議会では、現在マックスになっている松川インター大鹿線のダンプ通行量について、県が泥縄で改良工事を施工して、渋滞が発生していることが、ぼくだけでなく指摘されています。これはJRのシミュレーションとは大きくかけ離れた自体なため、余計にかかった工事費用はJRに県が求めるべきだ、とぼくは指摘しています。
またぼくからは、山梨県の有害残土の地面直置きによる重金属の漏れについて指摘し、管理型処分場でも管理は難しいのに、杜撰工事の前例があるJRが自社で有害残土を管理することに対し、長野県のモニター体制や考えを聞きました。持ち帰って検討、というので、そのプロセスも含めて報告しろ、と伝えました。
お追従をするリニア賛成議員の発言はありましたが、全体的に施工業者としてのJRの信頼性が以前よりも大幅に落ち、それに応じて、委員からの発言も増えたというのが印象です。(宗像)
先月2月17日、笛吹市内のリニア工事現場で発生した重金属を含む有害残土を地面に直置きしていて、鉛が含有量が基準の1.8倍だったことが発覚して報道された。
大鹿村内で変える会のある上蔵地区にも、有害残土をJRが仮置きし、この場合は下にアスファルトを置いているとのことだったのが、入りきれずに坑内に仮置きしているという。困ったJRは、管理型処分場等民間施設に持ち込むというアセスで述べた約束に違反して、現地に埋め立て処理すると言い始めて、当会は反対してきた。
この間JRは、有害残土の不適切な置き方を早川町でもして報道されている。どのように法令無視をしてきたのか、実際に現地を見てきた。
ここは、境川パーキングの下り線の山側。パーキングから見ると競輪場が望めるが、その左側のくぼ地にあたる。現地で事務所に行って場所を確認しろと言われたので、地元在住で今回案内していただいた、平川一星さんといっしょに事務所に行ってきいた。実際の工事にあたった西松建設の社員たちによれば、現在撤去に向けた準備工事をしているという。
フレコンバッグやブルーシートがかかった残土が無造作に置かれているのだけど、これが有害残土で、厳重な扱いを要するものだという認識が決定的に欠けていた、というのは見ればわかった。
その後、平川さんに案内いただいて、周囲を見に行った。
現在、境川パーキングの近くは、ガイドウェイの建設工場ができて、次々にできあがるガイドウェイが山肌を上のほうまで埋めていった。現在JRリニアの工事は完成時期も見通せず、失敗が明らかになり、そのことでJRの株価は下がり続けている。資金調達でますますJRは苦しくなっていって、鉄道の安定運行にも今後支障が生じるようになるだろう。
ここは平川さんの家のすぐそば。平川さんの土地もJRの路線にかかっているが、強制収用されるまでは買収に応じないとのことだった。近所には買収に応じて旧宅のすぐ脇に新宅を作った家もあった。これでは本当にリニアが出来た場合には騒音に悩まされることになると思うのだけど、あまり気にしていないようだ。当面できる見込みも立たないと思っているのだろうか。この近辺では家屋敷がかかっているのはほかにはなさそうだけど、本来2027年開業であれば、ガイドウェイの設置と走行試験に2年を要するとJRも言ってきたので、2025年中には工事が完成していなければならないはずだけど、そんなふうには見えなかった。